小笠原 瑛作選手 試合直前インタビュー公開!

インタビュー

公開日:2015/07/09

2015年7月12日(日)にディファ有明で行われます「REBELS.37」にて、REBELS 52.5kg級王座決定戦3分5回戦を行います、小笠原瑛作選手のインタビューを公開させていただきます。

小笠原は、昔つまらない試合をしていたけど、最近面白い試合をするようになったと言わせたい

聞き手:布施鋼治

──今回は52.5kg級でのREBELS王座決定戦となりました。

小笠原 前回スーパーフライ級(52.16kg以下)でやった時にきつかったので、山口元気代表から「じゃあ次はバンタム級でやってみるか」と言われていたんですよ。
そうしたら52.5kg級。
あれ?そんなに変わっていないぞって(微笑)。

──減量は?

小笠原 きついですね。
そういっても5kgくらいなんですけど。
ただ、練習がハードなので、普段で体重は簡単に落ちる。

──今春多摩美術大の2年に進学したと聞きました。
生活の方は落ち着いている?

小笠原 忙しいですね。
必修で演技や舞踏などの実技の時間が毎日ある。
1年の時にはそれが1~2限にあったけど、2年になったら3~4限になってしまったので終わるのが4時10分くらいなんですよ。
校舎は上野毛にあるのでそのまま吉祥寺のジムに来ても5時過ぎになってしまう。
うまいこと調整して、プロ練に間に合うようにしています。

──学校は楽しい?

小笠原 すごく楽しいです。
もともと人前に立って何かやりたいと思っていたので。
踊る方のバレエの授業もあるんですよ。
バレエシューズを履いて爪先立ちみたいなこともしています。
ダンスの授業では担当の先生が「呼吸を吐け」「脱力しろ」と言ってくる。
バレエでも身体を開く動きがあるので、キックに共通する動きがあるんじゃないかと思います。

──その一方で辛いこともある?

小笠原 演技は新しいことばかりなので、この歳になって厳し目のことを言われ、傷ついてジムにやってきて岡田ピロキ君や潘隆成君に愚痴をこぼすこともあります。
まわりは小学生の頃から子役をやっていたような人たちも多いですから。

──その中で新たな発見もある?

小笠原 演技で教えられることって技術的なことではなく、自分の感情を表現したり、率直な自分を見つめるじゃないけど、台詞を喋るような授業は全然なくて、自分の歩き方や感情を見つめています。
「あっ、俺はこういう時に喜んでいるだな」っという感じでね。
今までだったら喜怒哀楽を意外となあなあにしていたけど、そこに気づかなければいけないと思うようになりました。
何がキックに応用できるかわからないけど、最近は呼吸法も大事だなと思うようになりました。
今までは全然気にしていなかったんですけどね。

──ほぉ。

小笠原 鼻から吸って口から吐く。
空手でいう丹田。
そういうところって意外とムエタイ選手は言わないかもしれないけど、日本的なものとして大事な部分だったりするのかなと思いますね。

──REBELS関連でいうと、ヤスユキ選手は試合中に決して口で呼吸をしないことで有名です。

小笠原 舞踏の授業は3時間あるけど、それは踊らないで3時間限界くらいまで空気を吸って吐くみたいなことをやっている。
ずっと全身の力を脱力して3時間飛び続けたり。
ひょっとしたらキックより精神的な苦痛は大きいかもしれない。
コンテポラリーダンスでは身体を脱力させることを目的にやっています。
脱力して一度落とすからこそ力を創り出せる。

──それはまさにキックやムエタイと同じじゃないですか。

小笠原 そうなんですよ。
硬くしていったらダメで、フッと力を抜くからいい攻撃ができる。
ムエタイ選手も普段はリラックスして、打つ時だけパチーンと力を入れる。
相通じるものがあると思いましたね。

──最近はヒジなしのREBELSルールとムエタイルールを並行してやっているけど、どっちのルールの方が得意?

小笠原 最近はムエタイルールだと組みがOKなので、そっちに頼ってしまう傾向がある。
でも、REBELSルールだとそれができない。
その代わり打撃打撃という意識でやるから意外と倒せたりする。
どっちがいいというのはないけど、キックルールの方が自分はアグレッシブに闘えるのかなというのはありますね。
組み?なくても全然大丈夫。
(タイ人トレーナーの)ウーさんのミットもREBELSルールでは3秒以内だったら掴みが認められるのでそうしようとすると、ダメと言われる。
ウーさんは考えていないようでちゃんと考えている。
いまは押してからのローキックやパンチの練習をやっています。

──加藤竜二選手が返上した王座を争う優希選手についての印象は?

小笠原 REBELSに上がってなかったのもあって、対戦相手としては一切考えてなかったですね。
試合映像?まだ見てないんですよ。
トレーナーに任せているので。
これから見て研究しようと思っています。

──その余裕が命とりにならない?

小笠原 それは心配しています。
でも、この間片島聡志選手とやる前も試合映像は見なかったんですよ。
でも、このところ2試合連続KOで勝っているので、欲をいえば今回もKOで倒したい。
ただ、倒そう倒そうという意識が強すぎると身体が硬くなってしまうので、5Rを全部使って最終的に倒せたらいいですね。

──確かに倒そうと思って倒せるものではない。
最近倒せるようになった原因は?

小笠原 やっぱりウーさんの存在が大きい。
トレーナーがウーさんに代わってからだいぶ変わったと思います。
前のトレーナーの時にはフィームー(ムエタイ用語でテクニシャンという意味)でいろいろなテクニックを使えという方針だったけど、ウーさんのやり方はそうではなく、とにかく前に出ろみたいな方針なんですよ。

──日本向けに指導をアレンジしているんですかね。

小笠原 選手によって指導方法は変えているけど、僕の場合、ほとんど休憩なく全てを強く打たせるという感じですね。
おかげで練習量も増えている。
それに最後まで厳しく指導してくれる。
熱心に教えてくれる先生です。
ミットでの補強も前の先生だったらちょっと持っただけで2階に上がってしまうところを、ウーさんはずっと見ているので手を抜けない。

──それでパンチやキックの切れ味が増したわけですね。

小笠原 そうですね。
練習量も増えているので、それが自信にもつながっている。
最近は体つきもみんなから「でかくなったね」と言われるようになりました。
ミットを打っていてもそれは感じますね。

──意中の対戦相手は?

小笠原 あ~、やっぱり話題になっている那須川天心選手とやってみたいですね。
一応僕の方が年上だし、一応自分の方が先にプロデビューしているので自分からやりたいというのも悔しいですけど、みんな「強い強い」と口を揃えるのでやったら話題性もあるじゃないですか。
やってみないとわからない部分もるあるけど、タイプ的には噛み合う。
映像を見たら確かに強いし、早いし、ほかの選手とはレベルが違うけどやってみたい。

──ただ、現在那須川選手は55kg級です。

小笠原 バンタム級だと相手がいない気がするので、(転向するなら)スーパーバンタム級でやりたい。
この階級だと結構名前のある選手が多いし、BLADEでもトーナメントをやったりしているので面白いかなと思いますね。

──わかりました。
最後に今回チャンピオンベルトがかかっていることは意識します?

小笠原 あんまり意識しないですね。
前回ムエタイオープンの時もタイトルマッチという感じでは全然なかった。
ただ、ベルトは獲っていた方が他団体には上がりやすい。
だから今回もいい試合をして「小笠原は、昔はつまらない試合をしていたけど、最近面白い試合をするようになったな」と言わせたいですね。

○プロフィール
小笠原 瑛作(おがさわら えいさく)
所  属:クロスポイント吉祥寺
生年月日:1995年09月11日
出  身:東京都
身  長:170cm
タイトル:ムエタイオープンスーパーフライ級王者、元REBELS-MUAYTHAIフライ級王座
通算戦績:17戦15勝(3KO)2敗

^