日菜太選手 インタビュー公開!
インタビュー
公開日:2015/09/04
2015年9月16日(水)に後楽園ホールで行われます「REBELS.38」にて、アンディ・サワー選手と対戦いたします、日菜太選手のインタビューを公開させていただきます。
「アンディ・サワー戦でヘタな試合をしたら、もう辞めようと思っています」
聞き手:布施鋼治
──奇しくも今日(取材日は8月26日)は29歳の誕生日、おめでとうございます。
日菜太 ありがとうございます。
いや、本当に29歳までキックボクシングをやっているなんて思わなかったですよ。
1年1年が早く過ぎてしまってビックリしています。
──それは充実した日々を送っている裏返しじゃないですか。
日菜太 クロスポイントに来たのはまだ25~26歳の頃なので、もう4年いると思う。
その4年があっという間に過ぎた感じ。
いまだ(地元・平塚から吉祥寺までの)長距離移動には慣れませんけどね(苦笑)。
──しかし、対戦相手がアンディ・サワーとなると、ちょっとやそっとの苦労には耐えられるのでは?
日菜太 そうですね。
何よりも今回は勝たないといけない。
ヘタな試合をしたら、もう辞めようと思っています。
これだけやってきて、前回みたいな試合(2010年9月18日、1Rにアンディのチョークスリーパーの前に一本負け)になるならもうやる意味はないと思うくらい追い込んでいるので。
──現在の高いモチベーションはGLORYのアメリカ大会で実現したヨハン・フォービュー戦(2013年9月28日GLORY 10 3Rに日菜太がTKO勝ち)以来?
日菜太 そうかもしれないですね。
この2~3年大きなイベントもあったけど、自分においしい大会は少なくて。
今回はやっとチャンスが来たなと思います。
じゃないと、この3年間を何のために我慢してきたのかわからなくなってしまう。
──シュートボクシングのリングで初対決から5年の歳月が流れました。
日菜太 そう、5年前の話なんですよね。
あの時もサワーはトップでいてくれたけど、5年後の現在もトップでやっているってすごいことじゃないですか。
それに5年後も挑戦できるまで自分も強くなっているということには運命的なものも感じます。
──5年前と比べて、サワーのイメージは変わりました?
日菜太 そこまで大きくは変わっていないんじゃないですかね。
いつもあんな感じというか、つねに波のある闘い方をしていますよね。
すごい時には本当に世界のトップと渡り合うけど、負ける時にはコロッと負ける。
そんなに強くなかったですけど。
──今回闘う時にはどっちのサワーでいてほしい?
日菜太 ス心の中ではコロッと負けてほしいと願っている(微笑)。
その一方で過去最強のサワーで来てくれて、それを僕が乗り越えることができたら自分にとっては最高ですね。
──いま、重点的にやっている練習は?
日菜太 ボクシングをすごくやっていますね。
反対に自分が負けるとしたらパンチを打たれて負けるパターンでしょう。
そこをトントン、あるいは6-4くらいまで持っていけたら、自分には蹴りがある分勝てるんじゃないかと思うんですよ。
──キックボクシングの中で使えるパンチの技術はボクシングのそれとは別ものという話も聞きます。
今のやっているボクシングはしっかりとキックの中に落とし込んでいる?
日菜太 そうですね。
今年はすごくいい距離感で闘えていると思う。
それはボクシングスパーを多く入れているからでしょう。
週2回くらいの割合でやっています。
──去年、一昨年と試合数は多かったけど、今年はまだ2戦。その理由は?
日菜太 そうですね。
今年は年間4試合ペースですね。
歳になったのか、試合をやるごとにものすごく体調を崩すようになったんですよ。
短いスパンで試合をしづらくなってきているのでしょう。
疲れは前より抜けにくい。
───結構休息を挟むようにしている?
日菜太 いま練習は週6のペースでやっています。
でも、試合前でなければ、週5にしたりもしています。
やっぱり20代前半や中盤にできた練習量はちょっとずつこなせなくなってきた感はありますね。
だから試合の1か月前は練習が終わったら、まっすぐ自宅に戻るようにしています。
途中でご飯を食べたり、人に会ったりするだけで体調を崩しかねないですから。
行くとしたら平塚に戻ってからサウナに行くくらいですね。
──直近のサワーの試合は見ました?
日菜太 見ました見ました。
判定で負けたけど、どう見ても負けていない試合(2015年4月18日、スペイン。地元のJonay Riscoに判定負け)ですよね。
あれはかわいそう。
──過去に何度かサワーは露骨なホームタウンデシジョンに泣いています。
アウェイとはこういうものという割り切りがあるのかもしれないけどね。
今年1月に中国で開催されたトーナメントの方は?
日菜太 シッティチャイとやった決勝戦は見ました(2015年1月3日『Kunlun Fight 14 THE WORLD MAX RETURN 2015』シッティチャイの3R判定勝ち)。
あのタイ人は強かったですね。
サワーが普通に負けている。
ボディへのストレートとヒザで倒れていたじゃないですか。
──シッティチャイの試合の組み立て方は自分の試合にも還元できそう?
日菜太 シッティチャイの闘い方は僕の中で目指すべきスタイルなんだと考えています。
イメージとしてジョルジオ・ペトロシアンはボクシングキックの硬いサウスポーなんですよ。
対照的にシッティチャイはムエタイとしての柔らかいサウスポー。
──今年2月、サワーはNO KICK NO LIFEで田中秀弥選手の引退試合の相手も務めています。
日菜太 田中選手で思い出したけど、いま同期の選手がどんどん辞めているんですよ。
すごく寂しい。
──三十路を間近に控え、そういう年齢になったということですね。
日菜太 この間、健太君もダニロ・ザノリニに負けたじゃないですか。
数日前、その健太君から「同期の星として応援したいので、チケットを買いたい」というLINEが来たんですよ。
本当にあと同期では誰が現役として残っているかなという感じです。
──そういえば、この間ブアカーオもヒジで斬られたうえに敗北を喫していました。
日菜太 そうですね。
この間、那須川選手のJAPAN CUP優勝を見て思ったんですけど、55㎏級という階級でようやくスターが出てきたなと思いました。
ああいう感じで出てくるから、格闘技は面白い。
あの流れは消してほしくない。武尊選手との一戦もぜひ実現させてほしい。
──今回サワーに勝ったら次は?
日菜太 12月に(K-1-70㎏級初代王座決定トーナメントで優勝した)マラット・グレゴリアンとやらせてほしいですね。
──サワーに勝ったら、闘える権利を有するということですね。
日菜太 そうです。
本当にサワーに勝ったら、そういう勝負になってくると思う。
その要求が呑まれなかったとしたら、次は海外でもいいと思っています。
最近、中国とかファイトマネーがいいという話を聞きますからね。
──その一方で株価の暴落も気になります。
日菜太 そうなんですよね(微笑)。
あとはもう一度GLORYに出てみたい。
でも、次のステップに行くためにはとにかくサワーに勝たないと。
僕にとって今回の一戦は(現役生活の)集大成だと思って臨みます。
とりあえず現在は目の前のサワー戦で一杯一杯です。
○プロフィール
日菜太(ひなた)
所 属:クロスポイント吉祥寺
生年月日:1986年8月26日
出 身:神奈川県
身 長:181.5cm
タイトル:初代REBELS70kg級王者
通算戦績:52戦37勝(13KO)15敗