潘隆成選手 インタビュー公開!
インタビュー
公開日:2016/3/29
2016年4月3日(日)にディファ有明で行われます「REBELS.42」にてハチマキ選手と対戦いたします、潘隆成選手のインタビューを公開させていただきます。
「とうとう来たなという感じ。過去一番のビッグチャンスです」
聞き手:布施鋼治
── 先日、淑徳大学を卒業したと聞きました。おめでとうございます。
潘 ありがとうございます。卒論は江崎グリコのお菓子部門の経営戦略を1万8000字くらい書きました。ウチのゼミは厳しくて、途中何度もダメ出しを受けながら、3年の時から書いていたんですよ。
── 卒業してから、いきなり大一番を迎えました。
潘 とうとう来たなという感じですね。すっごく楽しみです。僕はキャリアが少なく今回で14戦目になるけど、過去一番のビッグチャンスかなと思います。
── REBELS-MUAYTHAIスーパーライト級王者に君臨するハチマキ選手の印象は?
潘 本当に強いチャンピオンだと思います。スタミナもあるし、穴も少ない。水落洋祐選手に勝って王座を獲得して、僕が負けている鈴木真治選手を挑戦者に迎えて初防衛にも成功している。以前から強い選手だなと思って見ていました。
── 穴がない中でも穴を見つけることはできた?
潘 見つけました!僕が以前から穴だと思っていたところをトレーナーもそう思っていたんですよ。そこをつくことができたら…。ただ、そこをつけなくても、判定で勝つだけの練習はしてきているつもりなので大丈夫かなと思っています。
── ズバリ勝算は?
潘 ありますね。以前は試合中に相手とどう闘うかとか考えていたけど、いまは練習中の自分をどれだけ出せるかしか考えていません。出せれば、勝てると思う。相手云々より自分自身をどれだけ出せるかがポイントになってくるでしょう。基礎的な部分はどんどん上がっていると思うので、どの局面で闘っても勝てる自信はあります。
── 振り返ってみれば、昨年度の初戦は初めてのタイトルマッチでした(※昨年1月、鈴木真治と当時空位だったJ-NETWORKスーパーライト級王座を争い、延長戦の末TKO負け)。あれから1年ちょっと経っているけど、自分の成長を実感できる?
潘 僕にとってはあれが初の5回戦だったんですけど、まさか6Rまで行くとは思ってもいませんでした。あの頃を100だとしたら、いまは200とか300になっているんじゃないですかね。
── それから2カ月に一度のペースでキャリアを積みました。その中でもターニングポイントとなった一戦は?
潘 9月の田中秀和選手に負けた一戦ですかね。ジャッジは明確なポイントしかとってくれないことがよくわかりました。このままの意識だったらヤバいなと思ったので、それ以降考え方を変えました。
── 「このラウンドはなんとなく俺がとっただろう」ではなく、「誰が見てもこのラウンドが俺がとった」というとり方をしなければダメだということですね。
潘 そうです。自分が思っている以上に明確に攻撃しないと、ジャッジは採点してくれない。でも、12月はタイの地方での試合だったので、シチュエーションはまたちょっと違っていましたね。
── どこで闘った?
潘 (タイ東北部にある県)コンケンです。タイ人を相手にパンチで先制のダウンを奪って、そのままパンチの連打で2R KOという試合でした。でも契約体重はないし、最初は外国人とやれという話だったけど、会場に到着したらタイ人に変更されていました。
── タイらしいエピソードですね。
潘 日程もずれてバスでバンコクから7時間くらい揺られてようやくコンケンに到着したその日に試合だったんですよ。なにもかも初めての出来事だったので、普通に焦りました。
── アバウトなところは徹底的にアバウトなタイの洗礼を浴びたわけですね。
潘 おかげでいい経験になりましたよ。試合前は不安だったけど、やれば何とかなると思いました。ただ、そのあとバンコクに戻ってPKセンチャイジムでの練習の方がもっと大変でしたけどね。
── PKセンチャイジムはタイのメガジムとして有名ですけど、面倒を見てくれたのはかつてこのジムのトレーナーを務め、今回の遠征では潘選手のナビゲーターを務めてくれたウーさん(現クロスポイント吉祥寺)?
潘 ウーさんは途中でいなくなってしまったんですよ(苦笑)。その時、僕は手や足を痛めていたのでマススパーとかあまりできなかったけど、首相撲でムチャクチャやられました。ムアンタイ(昨年5月、名古屋で梅野源治と闘ったナックモエ。現ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級1位、ラジャダムナンスタジアム認定フェザー級3位)とかヤバかったです。崩しがうまくて、僕がどんなに踏ん張っても「あれ?」という感じで崩されてしまう。あとPKセンチャイジムには首相撲専門の練習相手もいたんですよ。
── それは、すごい専門職ですね。
潘 いまはクロスポイントにいるジャルンチャイも以前はPKセンチャイで首相撲専門のパートナーをやっていたみたい。その時ジムにいたタイ人の首相撲もヤバかったですね。ロックとか硬くて動けない。やっているうちに自分の身に何が起こっているのかわからないこともありました。現役の選手もその首相撲専門の人には結構やられていましたね。
── おかげで、いい練習になった?
潘 ハイ、首相撲をやったあとに、ちゃんと「こうやるんだよ」という感じでマンツーマンで技術を教えてくれたんですよ。その時ジムには外国人が全くいなかったし、里帰りしているタイ人もいたみたいなので、時期的にも良かったのかもしれない。
── 年末年始もずっとジムで練習?
潘 そうですね。大晦日の夜はパーティーがあって僕も呼ばれていたんですけど、練習の疲労でちょっと寝てと思って気づいたら元旦の朝5時くらいでした。慌てて朝のロードワークに出かけたけど、前の晩お酒を飲んだ選手が多かったようで、試合を目前に控えた3~4名のタイ人しか集まっていなかったですね(微笑)。
── 元旦くらい練習を休みたいという気持ちはなかった?
潘 正直ありましたけど、もうここまできたら練習しないともったいないじゃないですか。住まいはジムの選手たちが住んでいるところに住まわせてもらいました。朝食はみんな自由にとるようになっていたけど、「ウーさんがいなくてかわいそう」という理由でワンチャロン(昨年9月、BOMでユウ・ウォー・ワンチャイと対戦したタイ人。現ルンピニー&ラジャダムナン両スタジアムのスーパーフライ級2位)がいつも奢ってくれました。バイクで毎回違うところに連れて行ってくれたけど、めっちゃ美味しかったです。お腹はちょいちょい壊したし、帰国したら胃腸炎になりましたけどね(苦笑)。
── それでも、またタイに行きたいでしょう?
潘 いい練習になったので、また行きたいし、向こうで試合もしたい。僕はタイ人が一番強いと思っているので、そこで揉まれるのはいいことだと思う。
── 今回のハチマキ戦はノンタイトル戦だけど、近いうちにREBELS-MUAYTHAIのチャンピオンベルトを巻くことができたら、次はタイの頂きを目指す?
潘 それもあるけど、REBELSの王者になったら、いま国内ではスーパーライト級が盛り上がっているじゃないですか。そこで頭ひとつ抜けたいという気持ちはあります。なので、勝ったら他団体の強い選手とやりたいですね。
── 対戦相手に困ることはなさそうですね。
潘 同じ日にスーパーライト級の挑戦者決定戦もあるじゃないですか。ベルトの行方がどうなるかわからないけど、今回自分がハチマキ選手に勝てば、(次の次には)僕が挑戦することができるでしょう。まわりの先輩はみんなベルトを持っているので、僕もいい加減ベルトが欲しい。
○プロフィール
潘 隆成(ぱん りゅんそん)
所 属:クロスポイント吉祥寺
生年月日:1993年8月2日生まれ(22歳)
出 身:東京都国分寺市
身 長:181cm
得意技=蹴り、ヒザ蹴り
通算戦績:13戦11勝(2KO)2敗