日菜太選手 インタビュー公開!

インタビュー

公開日:2016/5/15

「ダウディに勝たなければ、何も言えない」

聞き手:布施鋼治


── 3月にハミシャ・モーチェにまさかの敗北を喫してから2カ月、気持ちは切り替わりました?

日菜太 試合直後は「やっちまった」とすごく凹んだけど、気持ちを切り替えるしかなかったですね。翌日、一夜明け会見にも「ちゃんと自分の意見を言わないとカッコ悪い」と思ったので腫れた顔のままで出ました。ただ、「もう一回頑張るので応援してください」と言えるようになるまでには1カ月くらいかかりましたね。

── いざふたを開けてみたらモーチェは無名ながらもとんでもなく強いキックボクサーでした。

日菜太 いやぁ、強かったですよ。あのあと中国のトーナメント決勝でシッティチャイとやっているのを映像で見たんですけど、完全にアッパーを効かしている。70㎏級ではでかくてサウスポーに対してイヤなことを普通にやってくる選手なんですよね。

── 懐も深いように見えました。

日菜太 深かったですね。ミドルもそうだけど、左のストレートで入りづらかったというのがキーでしたね。シッティチャイも決めきれなかったじゃないですか。やっぱサウスポーはミドルを蹴ってストレートを当ててというのが勝利のセオリーだと思うけど、それをさせてもらえなかった。

── 1Rにダウンを奪われたシーンは克明に覚えている?

日菜太 チョロッと映像で観たけど、僕がウワァッ~となっている時に横から押し倒されてしまっている感じのダウンでしたよね。微妙なダウンではあったけど、ダウンを宣告されてもしょがない。本当に勢いがあったので、あれがダウンになっていなくても10-9になってもしょうがないと思いました。

── 判定を待つ時には覚悟を決めていた。

日菜太 最後(3ラウンド)になったらモーチェは逃げていたので、心の中では「もしかしたら延長になってくれるかな」という期待はありました。彼はヒョロヒョロして手足が長いのにスピードがあった。

── さっきも話題にあがったけど、そのあとモーチェは中国のトーナメントで決勝まで進出して70kg級では世界最強といわれるシッティチャイからダウンを奪うなど世界でも注目される存在になりつつあります。自分に勝った時点で、そのあとの活躍はある程度予測できた?

日菜太 普通に強かったので、そう思いましたね。僕も地力がついてきていて、そう簡単に負けないと思っていたんですけど、負けていますからね。本当に誰とやっても勝つ可能性のある選手だと思いました。アンディ・リスティに近いものを持っているんじゃないですか。

── 確かに日菜太選手がオランダ遠征してGLORYでアンディ・リスティと闘う前までリスティは無名の存在でしたからね。

日菜太 ハイ、ただ、モーチェは体格的にずっと70kgではできないタイプだと思いました。若いからまだやれる。もう少ししたら上の階級に転向するんじゃないですかね。

── 今回レドアン・ダウディと闘うというマッチメークを聞いた時には?

日菜太 僕は3月に負けているので、次に誰とやりたいといえる権利はない。ダウディは本当に強い相手なので気を抜かずに一生懸命にやるだけです。

── 3月大会ではT-98選手と引き分けているけど、選手としての印象は?

日菜太 パンチがありそうですね。T-98選手との試合を見て思ったのは全体的にT-98選手が押していたけど、ときおり被弾して相殺されてどっこいだったという感じの試合だったと思う。僕はもっとダウディを下がらせて、クロスレンジの打ち合いの中でも一発当てて効かせたい。ちょっと自信はあります。

── 今回のテーマは?

日菜太 手数だと思う。手数が少ないと面白くないので。いっぱい手数を出したい。選手は全員が主役だと思ってやらないと大会は面白くない。そういう想いで試合に望まないと御内の発表会で終わってしまいますよ。そこから脱却するためにも、僕の試合が終わったら満足して帰ってしまうお客さんがいてもいいんじゃないですか。

── ダウディの先に8月のビッグマッチ(8月7日、大田区総合体育館で開催のREBELS.45)は見えていない?

日菜太 見えていないです。もっといえば、前回の3月もその先を見ていたのが良くなかったと思う。これに勝ってとか、次はあれでというのはダメ。まずは目の前の敵を倒さないと、先のことなんて何もいえない。大晦日の時なんか宮田和幸さんしか見えていなかった。

── 浮気はしない、と。

日菜太 そうですね。何か意見を言うためにはまずはダウディに勝たなければいけないでしょう。

○プロフィール
日菜太
所  属:クロスポイント吉祥寺
生年月日:1986年8月26日生まれ(29歳)
出  身:神奈川県平塚市出身
身  長:181cm
タイトル:初代REBELS 70kg級王者
通算戦績:55戦39勝(14KO)16敗

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