宮越慶二郎選手 インタビュー公開!
インタビュー
公開日:2016/8/1
2016年8月7日(日)に大田区総合体育館で行われます「REBELS.45」にてNARUTO Banchamek選手と対戦いたします、宮越慶二郎選手のインタビューを公開させていただきます。
「中国では勝ったらヒーローになれる。でも、負けたら見向きもされない。」
聞き手:布施鋼治
── 今回Kunlun Fightに出場する日本人選手の中では唯一の出場経験者になりますね。
宮越 そうですね。3度出場して(※最初に出場した大会はフィリピン大会)過去2回もウェイ・ネイハイ(今回水落洋祐と対戦)とやっています。1回目はムエタイルールで、2回目はヒジなし。1回目は勝ったけど、前回は負けました。
── ヒジなしルールの定義は?
宮越 キャッチありだし、ある程度首相撲もありです。
── ブレークは早い?
宮越 いや、レフェリーから「プッシュしろ」と指示されます。僕は結構ルールに適応するタイプなので、レフェリーに言われたら指示された通りにやるだけです。なので、そんなにストレスはなかったですね。ムエタイルールの方は本当に普通のムエタイでした。
── かつて中国のキックボクシングやムエタイは露骨なホームタウンデシジョンが蔓延していた時代もありました。Kunlun Fightでそういうジャッジを目の当たりにしたことは?
宮越 ないですね。意外にジャッジは公平にやってくれるんですよ。
── 会場の盛り上がりはとてつもなくすごいという噂も耳にしました。
宮越 いまの日本はどちらかといえば身内だけ応援してあとはじっと黙って見ている感じじゃないですか。中国はそんなことなくて、出場選手の国籍に関係なくいい試合だったら沸く。僕もウェイと試合をして勝った時には中国人の観客が僕のところに来て「一緒に写真を撮ってくれ」とお願いされました。中国では勝ったらヒーローになれる。でも、負けたら見向きもされない。
── シビアに格闘技を楽しんでいますね。観客の入りは?
宮越 (僕が出た大会は)基本お客さんを無料で招待していたようです。お客さんは5000人くらい入っていましたね。盛り上がり方はすごくて、控室までお客さんが勝手に入ってくる。アップする時とか大変でしたよ。携帯とか財布とか貴重品は全部持って移動しなければならなかったので。
── 3回もKunlun Fightに出ていたら、現地のファンに顔も覚えられているのでは?
宮越 どうなんですかね。僕も中国でKunlun Fightがどれだけ有名なのかわからなかったんですけど、減量の時に水抜きでホテル近くの銭湯に行ったんですよ。そうしたらアルバイトみたいな大学生に「Kunlun Fightに出ている選手ですよね?」と声をかけられました。
── いい話だ(笑)。
宮越 ちょうどアイスがあったので、彼に「食べてもいいか」とおねだりしたら、「いいよ」と言いながらアイスをくれました。クソまずいアイスでしたけどね(苦笑)。でも、声をかけられたことで、中国で格闘技は盛り上がっているんだな。流行り始めているんだなという空気は感じました。
── 昔、日本で旧K-1やPRIDEが盛り上がっているような感じですか?
宮越 そうです。あんな感じです。だってウェイとか普通にテレビに出ているんですよ。いま彼とはFacebookで友達なんですけど、「今日はテレビに出ます」みたいな書き込みをしている。実際こぎれいな格好をしてバラエティみたいな番組に出ていましたよ。
── 中国でKunlunファイターは有名なんですね。
宮越 プロモーターのトニー・チェンさんには中国で1から10までお世話になりました。だから彼から「日本で開催したい」という話を聞いた時、すぐに「俺も出させてくれ」と頼みましたよ。向こうも僕のことを気にしてくれていて、この間の大会のアフターパーティーの時には「宮越はいい試合をするから日本でやる時には出てもらうから」と約束してくれました。出場が決まって、本当に良かったと思います。日本大会ではレギュラー参戦を狙いたい。
── 今回はタイ人のNARUTOバンチャメークと闘います。ただしルールはヒジなし。ヒジを使わないタイ人のイメージは?
宮越 最近のタイ人はムエタイルール以外でもうまい選手が多いじゃないですか。NARUTOは左ミドルが得意な典型的なムエタイスタイルだけど、ルールが違っても確実にいけると思います。ただ、僕は僕でサウスポー対策はできているし、勝率も高い。左ミドルに対してはストレートか何かを合わせたい。いつも通りに闘えばいけると思います。
── 試合時間は3分3Rで延長ありです。
宮越 最近は僕も3Rの試合が多い。3Rには3Rの闘い方があるじゃないですか。そのことがちゃんとわかってきた。僕はどちらかといえばスロースターターなので、最初は相手を見る。でも、3Rマッチだとそれはよく内儀で、1Rから行くような感じになると思います。
── 3Rだったら、相手の様子を見るのも1Rの最初30秒くらい?
宮越 そうなんですよね。逆にタイ人だと(5R制が体にしみついているので)1Rは見てしまうクセがある。そこを狙っていきたいし、1R目から見てしまうとお客さんも喜んでくれないでしょう。1Rから盛り上がる試合をしていきたい。
── 今回はオールスター戦というべきメンバーが揃いました。その中でどんなインパクトを残したい?
宮越 確かに出場する日本人選手のメンツはすごい。僕より知名度がある選手もいっぱい出る。でも、いくら有名な選手でもいい試合をするかといわれたらわからない。極端な話、アマチュアだっていい試合をする選手はいい試合をしますからね。そこはもう実力とは関係ない。問題は盛り上げたいかという気持ちが強いかどうか。盛り上げることは実力差に関係なく誰にでもできることだと思います。
── 自己アピールするとしたらどんな部分?
宮越 僕のスタイルは動くし、手数も多い。ほかの選手とはリズムも違えば間合いも違う。だから初めてキックを観に来てくれた人でも「なんか他の選手とは違うな」というのはわかってもらえるでしょう。
── 宮越選手のニックネームは“NINJYA”です。改めてニンジャスタイルをアピールしたい?
宮越 そうですね。なんといっても相手のリングネームがNARUTOですからね。なんちゃって忍者ではなく、ホンモノの忍者の動きを中国のファンにもアピールしますよ。
○プロフィール
宮越慶二郎
所 属:拳粋会宮越道場
生年月日:1990年1月28日生まれ(26歳)
出 身:埼玉県所沢市
身 長:170cm
タイトル:WBCムエタイインターナショナルライト級王者
通算戦績:30戦21勝(6KO)8敗1分