ハチマキ選手 インタビュー公開!

インタビュー

公開日:2016/11/18

2016年11月30日(水)に後楽園ホールで行われます「REBELS.47」にて不可思選手と対戦いたします、ハチマキ選手のインタビューを公開させていただきます。

「僕は梅野源治でも那須川天心でもなく、ハチマキで本当によかったと思う」



―― 先日の休日は高尾山のハイキングに行っていたとか。

ハチマキ ハイ、家でじっとしていると疲れてしまうので、歩いて頂上までフラフラっと行ってきました。

── 休日の過ごし方はいつもそんな感じ?

ハチマキ ライブに行ったり、友人と飯を食いに行ったり。あとはひとりでカフェに来て読書したり。本屋さんの雰囲気も好き。いまは芸人のマンボウやしろさんという方が書いた『ブサイク解放宣言-見た目にとらわれない生き方のススメ-』という本を読んでいます。やしろさんは吉本のブサイク芸人のランキングで殿堂入りした方なんですけど、ブサイクはこうやって生きろと指南している。去年芸人の方は引退されていまは演出家をしているんですけど、読んでいて本当に気持ちが解放されました。

── 題名のままじゃないですか(笑)。

ハチマキ たまにジムの帰りにラジオでやしろさんがやっている番組を聞く機会があって、ちょっと気にはなっていたんですよ。でも、その時は声しか知らなかったので、勝手にカッコいい人を想像していたんですけどね(苦笑)。

── 確かに昔のハチマキ選手はイケていなかったり、コンプレックスを感じたこともあったと思うけど、チャンピオンになった現在そんなことはないでしょう?

ハチマキ もともと卑屈な方だとは思いますけど、いまはそうですね。コンプレックスとかは残っていますね。まずは運動コンプレックス。子供の頃はスポーツがあまり得意じゃなかったので。足も遅かったし。

── それも努力によってかなりカバーされたのでは?

ハチマキ そうですね。まず伸ばせるところは伸ばして。でも、僕が那須川天心になれるかといえばなれないじゃないですか。

── それは断言します。

ハチマキ だから僕も那須川天心になりたいかといえば、別にいまのままの僕でいいなと思っています。

── ぜひいまのままでいて下さい。ところで今回もタイトルマッチ。REBELSでは2戦連続王座防衛戦ということになりました。

ハチマキ ずっと防衛戦もやっている感じだけど、裏を返せばそれだけこの階級の選手層が厚いということなのでしょう。それに、チャンピオンベルトはただ持っていても仕方ないじゃないですか。

── 中には記念品のトロフィーのような王座もありますからね。

ハチマキ いまはチャンピオンベルトが山ほどあるので、獲る相手も重要になってくる。そして防衛戦でやる挑戦者によってベルトの価値は決まってくる。だから今回は不可思選手という強い挑戦者を迎えることで、REBELS-MUAYTHAIスーパーライト級のベルトの価値も高まるんじゃないかと期待しています。

── 最初に不可思選手が挑戦者でという話を聞いた時には?

ハチマキ 次に防衛戦をやるとしたら、今年4月のノンタイトル戦で僕が負けている潘(隆成)君とやるのかなと思っていたので、ちょっと意外でした。もともと不可思選手は階級が違っていたので、全然意識もしていなかった。でも、向こうが階級を上げてきたので、ちょっとだけ直接対決する機運が高まりかけた時もあったんですよ。なので、「いつかやることはあるかな」と予想はしていました。

── 客観的に見て不可思選手の印象は?

ハチマキ センスがある。パンチもキックも一発一発基本に忠実できれい。そしてどの攻撃も相手を倒せるようなキレがある。

── 褒め殺しじゃないですか。

ハチマキ ただ、実際の試合となったらやってみないとわからない。いくら挑戦者が強いといっても負けるわけにはいかないので。自分はREBELSのベルトを持っていることに対する思い入れも強い。ここで具体的な作戦を打ち明けることはできないけど、とにかく勝ちます。

── 第三者から見たら、闘い方も生き方もルックスも全て水と油です。

ハチマキ まあそうかもしれないですね。

── イケイケという部分では前回闘った山口裕人選手と相通じる部分もあるのではないかと思いますが。

ハチマキ あ~、あんまり似ているというイメージはなかったですね。

── 振り返りたくないかもしれないけど、その山口戦(9月25日、逆転TKOで山口がWBCムエタイ日本スーパーライト級王座を獲得)は?

ハチマキ まだ自分の実力不足だったのかなと思いますね。勝ったり負けたりを繰り返しているのはその程度の実力しかないということでしょう。練習して強くなっている実感はあるんですけどね。

── ここ5戦の戦績を振り返ってみると、1勝4敗と芳しくない。

ハチマキ そうですね。でもやるしかない。もっと強くなるために、もっと良くなるためにできることをやるしかない。まあでも、練習するうえでも、何を伸ばしていいのか何が正解なのかわからない。結局自分が正しいと思うことを真面目にやり続けるしかないんじゃないかと思います。

── 正論ですね。

ハチマキ 同じ走りにしても少しやり方や場所を変えてみたり。食事にしても風呂にしてもそうですね。

── 風呂の入り方もこだわる?

ハチマキ いろいろ試してみて風呂に入浴剤とかは入れますね。重いウエートトレをやったあとでは炎症が起こっているので、あまり温めない方がいいという意見もある。なので、そういうトレをした日はとりあえずシャワーだけにしてみようかと思うけど、実際にそれが正しいのかどうかはわからない。翌日それでなんとなく筋肉痛が少ないような気がしたけど、風呂に入っていたらもっと楽になっていたかもしれないじゃないですか。

── 全てが試行錯誤だと。

ハチマキ 練習のボリュームにしてもそう。その強度も上がっているので、全部をフルでやるのは厳しい。今朝は坂道ダッシュをやってきたけど、これを週6回できるかといわれたら絶対無理。要はそういうバランスが問題になってくるんじゃないですか。

── 選手としての余白やのびしろはまだまだあると感じている?

ハチマキ はい、そう思いますけどね。自分の試合映像をみると、「なんでこんなにヘタクソなんだろう」と思いますけど(苦笑)。

── 人生はうまくいかないことの連続ですから。

ハチマキ そうですよね。格闘技は人生の縮図だけど、実際の人生よりは絶対短い。そうい意味ではいい勉強かなと思いますね。

── 今回の防衛戦も試練と受け止める?

ハチマキ 決まった試合はやるしかないというか、自分にとってそれがいい試合になるようにしなきゃいけないと思います。

── どんなところを見てほしい?

ハチマキ 受け取り方は観る人次第だけど、何かは伝わると思うし、何かを感じてほしい。見てもらってその人たちの心の動きが何もなかったら、それはプロではない。何かしら人の心を動かす試合をしなければならないでしょう。やっぱり大勢に影響を与えられる人間になれたらうれしい。僕の試合を観たひとりでもいいから、その人の人生を変えたい。自分も(Kalafinaなどの)ライブを通して人生をいい方に変えてもらった。格闘技もそう。鳥肌が立つような試合を観ていなければ、自分も格闘技をやろうとは思っていなかった。

── 最近PHOENIXは梅野源治がラジャの王座を獲得するなど、士気が高まっていると思います。刺激になっている?

ハチマキ 僕も感動して(梅野が王座を獲得した時には)自分がチャンピオンになった時と同じくらい涙が止まりませんでした。

── それは日頃梅野選手の絶えまぬ努力を目の当たりにしているからでしょう。

ハチマキ そうかもしれない。もう10年くらいの付き合いになるけど、苦労しているのは知っていますからね。最近はダウンを奪われる試合が多かったり、うまくいかない時期もあったじゃないですか。梅ちゃんがずっと目標にしていたタイのチャンピオンになれずにこのまま終わってしまったらやるせないというか、彼の想いが報われてほしいと願っていましたからね。

── 梅野選手の戴冠の翌日からは練習の集中度も違っていた?

ハチマキ 刺激にはなったけど、僕は僕で普段から練習はちゃんとやっているつもりなので。フフフッ。

── 失礼しました。そういえば、同門の前口太尊選手は生涯の伴侶を得ました。

ハチマキ 僕の試合の3日くらい前だったので結婚式には出席できなかったんですよ。まあ自分もできるなら結婚したいけど、とりあえず具体的な話はありません。まあ、それもなるようになるというか、一生懸命に生きていれば巡り合いもあるんじゃないかと楽観的にとらえています。その結果がいまの僕なんですけどね。

── 胸を張って生きてください。

ハチマキ さっきの話に戻ってしまうけど、いまは自分は梅野源治でもなく、那須川天心でもなく、ハチマキで本当に良かったと思う。昔はセンスがある人間に対して嫉妬というか憧れもあったけど、いまは僕は僕で好きなものがあって充実している。負けたら負けたで悔しいですけどね。この間も負けたあと何度となくクソッと呟いていましたよ。

── 負けたら部屋にこもる方?

ハチマキ いや、一応普通に過ごしているつもりです。ただ、負けたあとは世界がセピア色になっていますね。この間のREBELSで王座防衛に成功したらあとは「世界はこんなに明るいのか」と感動したくらい。もともと僕は色弱だし、悔しい思いもあるけど、それも含めて僕の人生なので。

○プロフィール
ハチマキ
所  属:PHOENIX
生年月日:1986年6月19日生まれ(30歳)
出  身:埼玉県さいたま市
身  長:175cm
戦  績:32戦16勝(2KO)12敗4分



^