ピラオ・サンタナ インタビュー公開!

インタビュー

公開日:2017/11/19


ピラオ・サンタナ!タイトル奪取へ向けて!



 ピラオ・サンタナがいよいよレベルスムエタイのタイトル決勝に挑む。
サンタナの本名はシェリー・サンタナ・ドス・サントス(Shely Santana dos Santos)という。
リングネームは本名を短くした「シェリー・サンタナ」とか「サンタナ」だけでも似合う気がするが本人はピラオ・サンタナ(Pilao Santana)を愛用する。ピラオとはMMAでのパウンドという意味。サンタナの出身ベースはMMAだからだ。

1986年3月19日、サンパウロ生まれの31歳。決して若くはない。そして身長160cmは格闘技ではかなり小柄だ。格闘技でタッパの大きさはかなりなアドバンテージになる。今回のレベルスタイトル認定戦の対戦者となる良太郎選手はサンタナが決勝相手と決まった瞬間に山口会長に推されてリング上に上がり、推した山口会長の気持ちを忖度し、得意のメンチ切りでサンタナに対峙した。顔を近づけて睨み合いとなりながら『こんな小さい選手なのか』とかなり驚いたという。

『リングに入ってきて握手でもするのかと思ったら突然睨みつけてきて驚きました(笑)成り行きで睨み合いです(笑)。みんな僕のことを小さいといいます。でも小柄な僕の全身はパワーの塊です。それに対戦相手のリョウタロウはツハシに負けている。背の高さでもツハシに負けている(笑)。そんなツハシを小柄な僕が1RKOで葬った。ツハシに負けたリョウタロウが僕に勝てる要素がありますか?何の問題も僕の方にはないと思いますよ』

弱点と思われる背丈など全く気にしていない。

『僕にとってオランダでの練習相手は誰もがみんな僕より大きい。僕より小さいのは小学生ぐらいです(爆)。だから試合での対戦相手の背の高さなど何の問題にもなりません。日々の練習すべてが大きい相手ですし家内まで僕より大きい(笑)。オランダ人は男女ともに世界一平均身長が高い民族です。日本人の背の高さなど僕には何の問題にもなりません』

笑いが多く明るい性格ながら強気だ。前回の津橋選手相手での戦いについて訊くと、

『事前に背がかなり高い選手だと聞いたとき、彼はそれを利用し首相撲とエルボーとかヒザで攻め込んでくるだろうと予想しました。念のため180cmほどの選手たちとスパーリングを重ねました。新K-1初代王者のマラト・グリゴリアンともスパーリングしました。マラトのパンチは痛いんです(笑)。ガッツンガッツンやられました。ツハシ首相撲に来るということは、逆に言えば僕の間合いに入ることです。ツハシが来たならすぐに下からアッパーやフックを見舞うよう考えました』




 序盤の作戦の一つとしてサンタナはカポエラのスピーディなバックスピンを一発披露した。津橋選手は上手くかわしたものの簡単にはサンタナへ近づけない状況になった。少々警戒気味にサンタナを首相撲につかまえに出た津橋選手はサンタナの思惑通りに下から伸び上がるパンチの連打を受けることとなった。

『作戦通りでKOできました(笑)』

初登場の6月に壮絶な殴り合いで1RKO負けを喫したとき、「俺にとっての憧れの日本はこれでもう終わりか」そう自覚するとリング上で思わず取り乱す姿を見せたサンタナ。しかし戦いの熱い姿を認めた山口代表は階級を下げてのトーナメント起用を決断。思わぬ再度のチャンスに今度は1RKO勝利。そして心に淀む不安が吹き飛び全身にカタルシスが訪れたサンタナはリング上で咆哮。コーチのマナート会長もともに咆哮した。

サンタナの本来のベースはカポエラだ。ブラジルの伝統競技。今では路上パフォーマンスなども多い伝統文化のようなカポエラだが、サンタナのカポエラはテコンドーの足技に近い実践力を持つ。バックスピンは破壊力が強い。異様にスピーディだ。日本では本格的なそれをまだ見せてないが津橋戦で軽く一度披露しただけだ。試合が膠着したときなどに瞬時に繰り出される彼の飛び道具カポエラは一撃KOの破壊力を秘めている。良太郎選手との決勝では間違いなく繰り出してくることだろう。


4年前に先に移住していた建築業勤務の兄を頼ってオランダにやって来たサンタナ。サンタナ自身はブラジルで4箇所のスポーツジムでMMAおよびカポエラのコーチをしていた。打撃をもっと極めたいという思いが強くオランダに渡ってきた。メジロで練習を重ねるうちに日本での試合が決まったが、オランダでは旅行者滞在だったことで日本入国ビザが取得できず、ビザ取得のためにブラジルに戻っている時間的余裕もなく、泣く泣く訪日を断念した過去がある。2014年秋のことだった。
今はオランダ人女性と出会いがあり結婚し身分的問題が消滅。正式滞在者となり、それに加えてカポエラ普及という名目でデルフト工科大学というオランダトップの大学でスポーツ客員指導員としての職も得ている。

対戦相手の良太郎選手もハードな運命を経ている選手だがサンタナも面白い。良太郎選手は、背負うものがあるからこそ戦える、という。自分を頼り慕う中高生の世代をまるごと抱えて日々やっている。サンタナは、

『リョウタロウが生徒を背負っている。僕も同じだ。来年の春にはパパになる。父親として家内と子どもを背負って生きている。そのための決勝だ。ここで負けるわけには行かない。リョウタロウは僕には勝てない。僕がベルトを巻く。そしてレベルスで防衛を重ねる』

メジロで練習を重ね、メジロジムを場借りして自前のMMAコースを持つサンタナ。己を鍛えるためにはオランダのあちこちのジムに赴いて出稽古を繰り返すサンタナ。ブラジル人という立場がそれを自由にしている。そのサンタナの自由な行動をマナート会長も認めている。

『メジロは自宅からちょっと遠いので毎日練習に行くわけじゃない。要所でポイントを指導される感じ。MMAコースはメジロで教えているし僕を頼ってブラジルからやってくる選手たちがいる。そして最近は欧州のあちこちからMMA選手のブッキング依頼がくる。僕はブラジルの仲間につないで選手をブックしている。セコンドとして一緒に行く。今年は特に週末になるとヨーロッパのあちこちの大会に随行している』

ファイトカテゴリーは57kg~62kg。ライト級はベストウエイト。だから、
『レベルスで58kgとかのトーナメントがあれば出たい。二階級制覇したい』
と狙っている。

今のところレベルスでの2試合でサンタナが見せた内容はどちらも1R。合計で4分ほど。2R~5Rのサンタナの動きやスタミナはどうなのか?まだ誰も分からない。過去のMMAの映像でスタミナは判明している。そしてバランスがいい。良太郎選手との決勝が5Rまでもつれこむのか。それともまた序盤で終わるのか。両者ともにそれぞれの思惑でそれぞれの作戦を立てていることは言うまでもないが、突貫小僧のサンタナが再び場内を急激にヒートアップさせる闘いを期待したい。


プロフィール
ピラオ・サンタナ
所  属:オランダ/メジロジム
生年月日:1986年3月19日生まれ
出  身:サンパウロ
身  長:160cm
戦  績:MMA戦績 12戦08勝03敗01ノーコンテスト
     ボクシング 02戦02勝
     キック戦績 10戦09勝1敗

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