4.27 REBELS.55インタビュー
インタビュー
公開日:2018/4/22 3
取材・文 茂田浩司第4子誕生を控える「爆腕ビッグダディ」KING強介(きょうすけ)。
「KOUMA選手との闘いは“運命”。地方で頑張ってきて、辛い思いもしてきた。すべてをパンチに込めて、KOしたい」
「西からREBELSのリングを荒らしに来ました」
その言葉通り、KING強介(ロイヤルキングス)は前回のREBELS.54で強烈なインパクトを残した。
REBELS.53で世界2冠王の国崇を破り、勢いに乗る炎出丸に対して、KING強介は序盤から持ち前のハードパンチで攻め立て、2度のダウンを奪って完勝。噂通りのアグレッシブ&爆腕ぶりを山口代表が高く評価し、KOUMAの持つREBELS-MUAYTHAIスーパーバンタム級タイトルの挑戦者にKING強介を指名した。
王者KOUMAは「KING強介君となら熱い殴り合いが出来る」と胸を高鳴らせているが、参戦2戦目でタイトル挑戦となったKING強介はどんな思いでいるのか。
連絡を取ったところ、KING強介もまた様々な事情を抱えながら競技を続ける30代のキックボクサーだった。
仕事をし、練習し、単身赴任中のため家事もする
「すべて試合へのモチベーションにします」
強気で鳴らすKING強介が、ある日、珍しく自身のツイッターでこんな弱音を吐いた。
<強介次戦レベルス55 vsKOUMA @doublenein
3月26日 1人になると寂しさが襲ってくる だからずっと練習していたい。 #単身赴任 #寂しさが俺を強くする #レベルス55 #レベルスムエタイタイトルマッチ #東京後楽園ホール #5ラウンドまでにどちらかが倒れる #お互いにそう思ってるはず #決め手は恐怖心>
家庭の事情でKING強介は現在、単身赴任中だった。
「嫁さんと3人の子供は嫁さんの実家に帰ってて、僕は一人で神戸で生活しながら仕事して、練習して、っていう生活をしてます。洗濯物が溜まってしまうんですよ(苦笑)。洗って干したら畳まないといけないし、ご飯も全部自分一人でやらなければいけないんで。この生活になって2か月経って、ようやく慣れてきましたけどね」
子だくさんのにぎやかな家庭から一変、一人きりの生活にはわびしさが漂うが、KING強介にとって「家族」の存在が戦うモチベーションになっている。
「子供は5歳、3歳、1歳で、今年の8月にもう一人生まれてくるんです。『リング上で子供と写真を撮る』って決めてて、上の二人の子とは撮れたんです。去年、鈴木(真彦)戦の会場に一番下の子が来てたんですけど、負けちゃって撮れなかった。下の子と、今度生まれてくる子と、リング上で写真を撮りたい。それは試合へのモチベーションにもなってますし、仕事は大工をやってるんですけど、一生懸命にやってますよ。家族を養っていかないといけないんで。今は、家に帰ってきても一人なんで、仕事して、練習して、疲れ切って帰ってきてそのまま寝るだけの生活です」
「試合のない時はキャバクラに行ったり、女の子と遊んでる」と公言するKOUMAとは真逆の生活だが、実はKING強介とKOUMAは同い年で、様々な共通点があるのだという。
「KOUMA選手のインタビューを読みました。僕も昔、少しやんちゃはしましたけどKOUMA選手に比べたら全然です(笑)。KOUMA選手は一回道を外れて、よう戻ってきましたね。戻れない人もたくさんいるのに、こっちに戻ってきて、チャンピオンに上り詰めるのもすごいことですよ。しっかりと練習に取り組まないと、通用しない世界ですから。
KOUMA選手とは年齢も同じ、身長(163cm)も、ファイトスタイルも同じなんですけど、キックを始めたのが遅いのも同じなんです。
昔から格闘技は大好きだったんですけど、近くにジムがなくて、KING皇兵に出会ってキックを始めたのが26歳。1から教わって、アマチュアを1年ぐらいやって、27歳でデビューしました。
一人で黙々と練習するのもKOUMA選手と同じです。やるべきことは分かってるので」
KOUMAのことは、以前から知っていた。
「面白い試合をする選手だな、と思ってチェックしてました。去年、MAでタイトルを防衛した時に『REBELSでKOUMA選手とやりたい』と言ったんですよ。すごいアグレッシブで、ガチャガチャですけど『この選手と試合したら会場をわかせられるな』と思ったんで。
だから『いつかやりたい』と思ってましたけど、まさかこんなに早く、しかもタイトルマッチでやれるとは思っていなかったです。タイトルマッチまでは、もっと順序を踏むのかなと思ってましたから」
同い年ながら、全く違う場所で、違う生き方をしてきた二人が、いつしか「コイツと戦えば面白い試合になる」と同じ思いを抱くようになり、まるで吸い寄せられるようにREBELSという戦場にたどり着き、拳を交える。
「KOUMA選手と戦うのは運命だったんでしょうね」
打ち合いはしたくないです。痛いの嫌いなんで(笑)
だけど会場をわかせる試合になるんでしょうね。
KOして、REBELSのベルトを巻きます。
KING強介とKOUMAには共通点が多いが、明らかに違う点もある。それは、KING強介が常にアウェーで戦い続けてきた選手、ということだ。
「試合はいつもアウェーです。僕はKO率は低いですけど(28戦で7KO勝利)、勝った試合は全部ダウンを取っています。逆に言えば、いつもアウェーなんでダウンを取って、しっかりとポイントを取らないと勝てないんです。それで辛い思いもたくさんしてきたんで」
アウェーでは「判定になれば不利」になるのは否めず、接戦になればホームの相手側にポイントが付く。そのため、KING強介は得意のパンチを磨き、倒し方を工夫するうちにタイトルを手に入れ、やがて「西の激闘派」として少しずつ知られるようになった。
現在、33歳。守らなければならない家族もいるが、それでもキックボクシングで上を目指す姿勢は変わらない。
「体を動かすのが好きで、キックボクシングが好きなんで、自分が望んだ形でやめたいですね。中途半端に、思いを残してやめるのは嫌なんで。とことん自分がやりたいことをやって、上がりたいリングに上がって、ちょっとぐらい脚光も浴びてみたい。それに、強い選手は一杯いるんで、どれだけ強いのかを戦って知りたいんですよ。
KOUMA選手は『打ち合い』を望んでますけど、僕は断ろうと思ってます(笑)。痛いのは嫌いなんで(笑)。
まあ、誰もが予想する通りに、お互いにダメージの残る試合になるでしょうね。ただ、詳しくは言えないんですけど僕も幾つかの作戦を用意してて、パンチで打ち勝てると思ってますね。『タイミング』だけなんです。これ以上は言えませんけど(笑)。
僕もパンチの強さには自信があります。KOUMA選手とは絶対に会場をわかせる試合になるんで、KOで勝って、REBELSのベルトを取って、次回大会も出たいです。6月6日、誕生日なんですよ(笑)。
ずっと地方で頑張ってきて、僕のスタイルを山口代表に評価して貰えて、参戦2戦目でタイトルマッチをやらせて貰うのは嬉しいですし、今、すごくモチベーションが上がってます。
必ず熱くて、面白い試合をするので、応援してください」