UMA(K&K BOXING CLUB)インタビュー
インタビュー
公開日:2018/7/22
聞き手・撮影 茂田浩司「北海道から世界への扉を開く!」
どさんこキックボクサー、UMA(ゆうま)。
対戦相手は日本屈指の実力者・健太。
「健太選手を倒して、次のステージに進みます」
中国・クンルンファイトで念願の初勝利!
「また海外で勝負したい。ONEに出たいです」
「今回のREBELS.57は、梅野(源治)選手や才賀紀左衛門選手の出る注目度の高い大会ですよね。こういう大会に呼んで貰って、本当にありがたいです」
UMAが声を弾ませるのは理由がある。
REBELSに出場するのは今年2月のREBELS.54以来。この時は、K-1ファイターの小鉄(K-1ジム目黒TEAM TIGER)と戦い、判定で勝利したものの、納得のできる内容ではなかった。
「あの大会は、梅野選手のタイトルマッチ(ルンピニースタジアム認定ライト級王座決定戦)があって、後楽園ホールが超満員の観客で埋まっていました。自分の存在をアピールするチャンスだったのに、僕は自分でも『なんだこれ?』っていう試合をしてしまった。全然自分の動きが出せなくて、本当に悔しかったです」
試合後、UMAはREBELSの山口代表に次戦の希望を伝えた。
「『もう1回、クンルンファイト(中国)で勝負したいです』と話しました。そうしたら、すぐに試合を組んで貰えたんです」
UMAは昨年7月、クンルンファイトに初参戦。地元の中国人選手とヒジありルールで戦った。ハイキックでダウンを奪われ、ヒジ打ちで切られたものの、最終ラウンドは反撃に転じて追い上げた。結果は0-3の判定負けだったものの、内容的には初の海外遠征で大健闘といっていいものだった。
が、UMAにとっては、忘れがたい屈辱的な敗北だった。
「全然うまくいかなかったですね(苦笑)。ヒジで切られた傷が深かったのか、試合後にめっちゃ髪を剃られて14針も縫われたのもショックで(苦笑)。ホテルは豪華だったんですけど、飯がめっちゃまずいし、帰りも本当に遠くて(海南島)。なかなか日本に着かないんです。
だけど、海外での試合は本当にメンタルが鍛えられますね。その時『絶対にリベンジしよう』って思いました」
UMAは今年4月15日、中国・北京市でおこなわれた「クンルンファイト」に参戦。中国の実力者、バイ・リーシャイから得意の飛び膝蹴りでダウンを奪うと、その後も攻め続けて3-0の判定勝利を収めた。
「めっちゃ嬉しかったです。勝ってテンションが上がって、同じ大会に参戦した森田(崇文)選手やTOMOYUKI選手と一緒にアフターパーティーに参加して軽く食って。向こうは大会が終わるのが夜12時ぐらいで遅くて、アフターパーティーに出るとホテルの部屋に戻るのが午前3時。翌日の帰国便が早いので朝5時にロビー集合だったんですけど、それもまったく苦にならなかったです(笑)」
UMAは北海道札幌市在住。東京での試合は実質的にアウェーでの戦いで「アウェー慣れ」はしているものの、海外という圧倒的なアウェーの地での勝利は格別だった。
「クンルンファイトで勝って、本当に嬉しかったですし、また海外で勝負したいです。次はONE(Championship)に出てみたい、と思ってます。ONEなら、AbemaTVで配信しているので周りの人も見られるじゃないですか。僕は、北海道で試合したのは3、4年前ですし、最近のREBELSは配信がないので、北海道の人たちは僕の試合を見る機会がないんです。
ONEで長谷川(賢)選手がボーナス5万ドル(約550万円)を貰った、という話を聞いて『すごいな』と思いました。負けた選手にも『いい試合だった』とボーナスを出してくれたら、選手としてはやりがいがありますよね。
僕も、プロでやっている以上、そういう大きな舞台で勝負してみたいです。そのためにも、まず目の前の健太選手との試合をクリアしないと」
REBELSのチャンピオンになって、北海道にキックボクシングを広めたいし、もっと海外で試合もしたい。
「その先」のステージに上がるために、健太選手を倒します!
健太とは2013年6月のREBELS群馬大会で初対戦。その時は0-3の判定で敗れている。
「3R目に上手くまとめられて負けましたけど、自分では『まあまあ出来たかな』という感じでした。めっちゃ効かされた攻撃もなかったです。ただ、戦い方が上手だったですね。どこで休んで、どこで攻めてをよく分かってて、頭の良い選手だな、と。あの頃の自分ではまだダメでした」
その後、UMAは中量級のトップクラス、中村広輝、水落洋佑、ザカリア・ゾウガリーらと対戦し、キャリアを積んできた。ただ、中村には勝利したものの、水落とザカリアにはKO負け。中量級のトップ戦線に食い込むことは出来なかった。
「去年、一昨年は勝ったり負けたりでした。試合が決まってもあまりモチベーションが上がらず、その状態で試合してしまったこともありました。でも、今年はとても調子がいいですし、やっと試合で『自分のやりたいこと』がやれるようになってきました。何より、昔よりも『1戦1戦をちゃんとやらないと』という意識が高くなったと思います。
27歳になって、周りの友達もちゃんと働いてますし、さすがにバイト感覚ではやっていられないので。もう新人でもないですし、キャリア的には中堅と呼ばれるところで。
今までのキャリアで、まだ『代表作』といえる試合がないんですけど、健太選手との試合で代表作と言える試合がしたいです。健太選手はそこらの日本チャンピオンをあっさりとクリアしてしまうし、誰もが認める日本のトップですよね。だから、僕がこれからいろんなステージに上がるためにも『健太選手に勝つこと』はめちゃめちゃデカいです。
僕が一流として認められるか、まだ一流の選手よりも下なのかが、今回の試合で判断されると思います。僕にとって、どうしても越えたい、越えなくてはいけない目標なんです」
日本のキック界では知らぬ者はいない「健太」という大きな存在。そのビッグネームを「越えなくていけない」のは「北海道在住」にこだわるUMAらしい理由がある。
「東京なら、ジムで一般会員さんを指導して、空いた時間に自分の練習が出来るし、トレーナーもスパーリングパートナーもいて、試合のチャンスも多い。キックボクシングだけで生活が出来るのは本当に羨ましい環境です。だけど、僕は北海道でキックボクシングをやり続けていることに意義を感じているんです」
UMAの1日のスケジュールは、夜12時から朝7、8時までなか卯でアルバイト。午前中は寝て、昼過ぎに起きるとジムで一般会員と一緒に基礎練習。それが終わると休憩し、夜8時から11時まで練習。終わると朝までアルバイト。その繰り返しだ。
「その生活を、試合前は週5、試合のない時は週6でしてます。もう5、6年やってて、会社からは『社員にならないか』ってめっちゃ言われますよ(苦笑)。
スパーリングパートナーもいないし、練習環境は良いとは言えないですけど、こんな僕が活躍すれば、同じ北海道の人とか地方でキックをやってる人を勇気づけられるんじゃないか、って。
ただ、僕は恵まれてます。北海道の選手で、こんなに頻繁に東京に呼ばれて試合のチャンスを貰っている選手は他にいないです。だから、REBELSの山口代表に感謝していますし、僕は『REBELSのチャンピオンになりたい』っていう気持ちはすごく強いです。
僕の夢は、北海道にキックボクシングを広めることです。そのためにもREBELSのベルトが欲しいし、自分の価値をさらに高めて、海外のリングでも活躍したい。
だから、今回の健太選手との試合は絶好のチャンスです。今は1日中、健太選手との試合のことを考えて、ずっと頭の中でシミュレーションしてます」
健太にリベンジするための課題が、UMAにははっきりと見ている。
「今回は、いかに健太選手のリズムを崩せるか、だと思ってます。相手は百戦錬磨なので、他の選手と同じようなことをやってもダメ。いかに健太選手の考えの裏を突けるか、です。
僕の飛び膝蹴りとか回転系の技は相当警戒してくると思うので、僕は上手く距離を考えながら、的を絞らせないようにします。今回はヒジありルールなので、余計に距離が大事ですね。今、言えるのはここまでです(笑)。
今回は、梅野選手とか紀左衛門選手が揃う豪華なメンバーの中で、日本人中量級トップの健太選手を相手に、自分の個性をしっかりとアピールしたいです。
健太選手を倒して、みんなに『UMAって強いな』と思わせたいですし、思わせます! そうして、REBELSのチャンピオンベルトを獲って、ONEにも出たい。国内ではREBELS、海外ではONEを主戦場にして、定期的に試合ができたら理想ですね。プロでやってる以上、世界のトップが集まるリングで戦いたいですから。
絶対に次のステージに進むためにも、健太選手を倒して勝ちます。頑張ります!」