「美女キックボクサー」ぱんちゃん璃奈(りな)インタビュー

インタビュー

公開日:2020/8/18

取材・撮影 茂田浩司

「美女キックボクサー」ぱんちゃん璃奈(りな)。
デビューから1年半で成し遂げてきたことと、
念願のタイトルマッチへの思い。

 REBELSに初めて「女王」が誕生する。
 8月30日(日)の「REBELS.65」(後楽園ホール)のダブルメインイベント第一試合、「創世のタイガ presents REBELS-BLACK(ヒジなし)女子46kg級初代王座決定戦」においてぱんちゃん璃奈とMISAKIが激突。勝者が、栄えある初代女王の称号とチャンピオンベルトと、勝利者ボーナスを手にする。
 ぱんちゃんは昨年2月にプロデビューしてここまで7戦全勝。無敗のままでプロ初戴冠なるか。決戦を前に心境を語った。






「本名の自分は好きじゃない。
『ぱんちゃん璃奈』はすごい好きです」



 昨年2月のデビュー以来7戦全勝。プロ8戦目に組まれた初のタイトルマッチは、新型コロナにより2度の延期を経て、8月30日(日)の「REBELS.65」でおこなわれる。

 ぱんちゃんはこう振り返る。
「デビューしてから、早くて1か月半、遅くても2か月に1回のペースで試合をしてきて、あのままの勢いで4月にタイトルマッチをやる方法もあったと思うんですけど。今思うと、あの時点では出来てなかったことも多いので。
 いつも1か月間で対戦相手の対策を作って試合してって感じで、こんなに練習ができたこともないので。やっぱりタイトルマッチをするからにはいい試合をしたいので、逆にこれだけ練習できたのでよかったと思います。MISAKI選手も条件は一緒なんですけど、しっかりと練習してきて勝率は上がってると思います」

 タイトルマッチは、ぱんちゃんにとって悲願のチャンス到来だった。

「22歳の時にキックボクシングに出会って、すぐに『チャンピオンになる』って目標に掲げたんですけど、ここまで来れるなんて自分でも思ってなくて。最初は正直、自分に自信もなくて、いろんな人を見返したい、っていう気持ちで『強くなりたい』って思っていたんですけど、今は単純に、本当に応援してくれる人たちとか、今まで助けてくれた人たちに『ベルトを巻いた姿』を見せたいっていう気持ちが大きいです。いろんな人の力を借りて強くなれたので」

 1年半前、デビューした頃は「まったく自信がなかった」ぱんちゃん。それには理由がある。

「自分が好きじゃないんです(苦笑)。本名の方の自分は。(リングネームの)『ぱんちゃん璃奈』はすごい好きなんですよ。  デビューした時はまだ『ぱんちゃん璃奈』は10パーくらいで、本当の自分が9割。でも今はプライベートでも、常に、98パーセントは『ぱんちゃん』でいられることが多くなってきて。なので、常に明るく、好きでいれるというか。自分があんまり出てこなくなってきてます、いいことだと思うんですけど(笑)。
 自分のあこがれてる存在、なりたい存在、自分で作り上げた『像』にずっといられる感じが出来てるので。毎日、ネガティブなことも考えずに、ポジティブにいれるのかなって思ってます」

 ぱんちゃんの変化に、一番驚いたのは家族だった。

「家族はすごく変わりましたね。キックを始めた頃は誰も応援してくれてなくて、アマチュア12戦やった時も『頑張って勝ってね』とはあんまり言われなくて。『怪我しないように』ってそっちの方だったので。
 プロデビューしても、家に帰ると、お父さんに『プロじゃなくて、趣味にしてたらええねん』って言われて喧嘩になったこともありましたけど、去年8月のKNOCK OUTで初めて試合を見に来てくれて『本気だ』と分かってくれて、今は家族みんなが応援してくれてます。姉は、私のことを恥ずかしがって隠してたんですけど、最近は普通に宣伝もしてくれて。嬉しいですよね。お母さんは『夢を見て、キラキラしてるぱんちゃんが好き』って言ってくれて、お父さんだけは『璃奈』なんですけど、お父さん以外は『ぱんちゃん』って、新しい自分で接してくれてます(笑)」

 ぱんちゃんの「本気」は周囲を動かした。
 デビュー戦の頃からプロ意識が高く、記者会見での衣装や計量で着用する水着は毎回違うものを用意。会見での発言も「頑張ります」だけで終わらせず、必ず「KOします」「今回はフックで倒します」と言った見出しになるフレーズを口にした。
 また、チケットの手売りを積極的におこない、SNSを使ったプロモーションにも力を入れてきた。
 その結果、数多くのスポンサーを獲得して「キックだけに専念して、強くなれる環境」を作りあげた。

「今回はすぐに売り切れてしまって『すいません、売り切れました』ってお断りした人がほぼほぼでした。チケットのやり取りは大変ですけど、新規で来て下さる方が毎回、毎回増えているのでそんなに苦ではなかったです。
 本当に、応援してくれる人がどんどん増えているので、キックボクシングに専念できて、空いた時間は体のケアに時間を掛けています。今は1日3部練をする日もあるので、どうしても疲れが溜まりやすくて。怪我をしないように、ちょっとでもおかしいなと思ったら、練習をやめるんじゃなくて、ケアの方にめちゃめちゃ時間を掛けています。
 今は単純に、本当に応援してくれる人たち、今まで助けてくれた人たちにベルトを巻いた姿を見せたい、っていう気持ちが強いです」






気持ちの勝負はしない。
テクニックと冷静さで勝って、朝倉海選手と「おたくとメイド」で表紙になります。



 REBELS-BLACK(ヒジなしルール)女子46kg級初代王座決定戦で対戦するのは、日本トップクラスの実力者、MISAKI。ぱんちゃんの3倍の試合キャリアを誇り、イリアーナ・バレンティーナら世界の強豪選手との対戦経験もある。

「今回、MISAKI選手が挑戦者みたいになっているんですけど(苦笑)。キャリアが全然違いますし、私の方が挑戦者です。MISAKI選手に『手ごわい相手』と言われるんですけど、彼女は最近、強い選手と戦ってきているので、私が一番楽だと思うんです」

 MISAKIの発言に対して、思うところもあるという。

「MISAKI選手に『何も勝ててない』とか『グラビアアイドル』とかも言われて、あんまりいい気持ちはしないです(苦笑)。私はリング以外で勝負してるつもりはないので『リングだけでも勝たないと』と言われても、プライベートのことはどうでもいいので、私はリングでしっかりと勝ちたいです」

 MISAKI攻略の作戦はすでに出来ている。

「今までは、リーチとフィジカルで勝ってきたんですけど(鈴木秀明)会長には『それだけでは勝てない相手だよ』と言われています。
 私も、どっちかというとMISAKI選手のように気持ちで前に行っちゃうタイプなんです。もちろん気持ちは大事なんですけど『頑張るぞ!』という気持ちで前に出るとテクニックを潰してしまう。会長に『違う、違う!』と言われて、頑張ってテクニックで戦う練習をしてきました。
 MISAKI選手の気持ちは世界トップ。でも、彼女が最後の最後にイリアーナ選手や女神選手、寺山(日葵)選手に勝てないのはそこなのかな、と思うので。テクニックとか冷静さでMISAKI選手に勝って、後に続きたいです。
 本当は気持ちで行きたいんですけど。前に行って、すぐに打ちたくなるんですけど(苦笑)」

鈴木会長「気持ち対気持ちの勝負になると、幕下と大関くらいの差がありますよ。MISAKI選手はそういう勝負に巻き込んでいくインサイドワークがあるので、がむしゃらにやって勝てる相手ではないです。自分が楽しんで、MISAKI選手が焦るのが最高の筋書き。ぱんちゃんが『楽しい』と思ってやれればいいと思うし、今回はターニングポイントになる試合ですね」

 ぱんちゃん自身、大一番を前に手ごたえを感じている。

「勝てる、ってすごい自信がある日と、こんなんでいいのかな、と不安に思う日の繰り返しです。ただ、1週間ごとに動きが良くなっているので、試合でいかに会長に言われてきた動きが出来るか、です。
 もちろん、MISAKI選手がすごく強いと分かった上で、やっぱり勝ちたいし、会長に言われた通りにしっかりと動ければ勝てると思うので。いかに試合でそこまで持っていけるかどうか」

 ぱんちゃんには、ベルトを巻いてやりたいことがある。

「朝倉海選手とYouTubeの撮影をした時に『一緒にタイトルマッチで勝って、おたく(海ぴょん)とメイドでベルトを巻いてゴング格闘技の表紙を飾ろう』って言って貰ったんです。朝倉海選手がチャンピオンになったので、私も頑張ってメイドチャンピオンになります(笑)。チケットは完売してしまっているんですけど、ツイキャスの生配信があるのでリモートでの応援をよろしくお願いします」

プロフィール
ぱんちゃん璃奈(りな)
1994年3月17日、大阪府豊中市出身。26歳。
STRUGGLE所属。身長164cm。
戦績:7戦全勝(1KO)

19年2月、「パンクラス・レベルス・リング」の地上波ゴールデンタイム生中継でプロデビュー。
同年8月の「KNOCK OUT」では山手線巨大広告に登場し「ヤングアニマル」でグラビアデビュー。
今年5月に「ぱんチャンネル」をスタートしてYouTuberに。メイド姿やポールダンスで振り切った姿を披露し、新たな境地を開拓&新たなファン獲得中。

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