【REBELS.67】渡慶次幸平インタビュー公開!
インタビュー
公開日:2020/10/23
取材 安村発「試合中に死んでもいい。ルールに則った戦いの上で相手が死んでもしょうがない」
――渡慶次選手はパンクラスを主戦場とするMMAファイターでしたが、その後、超過激なルールで戦う「ラウェイ」に参戦し、2018年12月にミャンマーで開催された国際大会の『KBZ グランドファイナル』でKO勝ちして日本人2人目の同大会王者に輝いた実績があります。前回9月13日のKNOCK OUTでの釼田昌弘戦が初のキックルールでしたが、グローブをはめた試合はどうでした?
「凄く安全なルールだと思いました(笑)。試合が終わって物足りなさは特になかったのですが、試合のダメージがなかったのでまた試合がやりたくなりました」
――ご自身としては拳にバンテージだけを巻き、肘・膝・頭突きありの過激なルールのラウェイルールの試合の方がやり応えがありますか?
「やっぱりラウェイルールの試合の方が全然いいのですが、キックはキックの難しさ、楽しさがあります。ラウェイはコロナの影響もあってラウェイ日本大会が開催されない状況なので、KNOCK OUT、REBELSを盛り上げていくことがいいのかなと」
――キックの難しさはどこで感じました?
「グローブをはめているのでキックは安全ですが、ラウェイは素手なので目に当たったら痛いですし、一発一発の怖さはラウェイの方があります。でもグローブは重い分、当たれば脳が揺れるのでダメージを負いやすいとも思います」
――ご自身のSNSでは、拳を砂袋に打ち付けて鍛錬している練習動画を紹介していましたが、キックの試合でも拳を鍛錬することに効果を感じていますか?
「グローブをはめた打撃を受けると相手は骨折します。この前の試合では最後にダウンを奪った僕のパンチで釼田選手は顎の骨と歯が3本折れたみたいなので、グローブをはめても威力が出せるように拳を鍛えています」
――キックルールでもやっていける手応えは?
「キックは立ち技格闘技の王道ですし、ルールが違ってもラウェイの渡慶次は強いんだと証明するために、やりがいを感じています。うちのジムには、日菜太さん、T-98さん、不可思とキック業界のトップ選手がいるので一緒に練習をしていてもやられることはないのでイケるなと。練習で強くてもしょうがないですけど、前回試合をしたことでどういう感じかが掴めたので、今回もしっかり準備して臨めば相手は倒せると思います」
――ラウェイの日本人選手といえば、ラウェイの本場でベルトを獲得している金子大輝選手が他団体のリングに出ていて4戦4敗となかなかキックで結果を残せていません。
「それはそうでしょう。僕と元々のレベルが違います。僕が倒してきたラウェイの選手と彼が倒したラウェイの選手にもそもそも差があるんだと思います」
――渡慶次選手の打たれ強さはどういうふうに鍛えられたものですか?
「僕はスピードがなく身長も低く、パワーも特にあるわけではなく、センスも中ぐらいだと思うんです。メンタルの面では世界のトップクラスだと思うのでそれが打たれ強さにつながっているのかなと。ラウェイの試合では失神したことがありますし、失神しても2分間のタイムが与えられて試合を再開させられて逆転KO勝ちしたことがあったのでそういう経験からメンタルも鍛えられているのかなと思います。大袈裟な言い方をしたら、試合中に死んでもいいと思っていて、ルールに則った戦いの上で相手が死んでもしょうがないと思っています。そういう気持ちで戦っているので僕は強いんだなと」
――今回対戦する小原選手にはどういう印象がありますか?
「ムエタイの名門ジムの選手なので、ムエタイに関しては巧いのかなと思うのですが、問題なく倒せると思います。巧いと言っても日菜太さんよりは強くないと思うので問題ありません」
――SNSでは大晦日RIZINで松倉信太郎選手との対戦をアピールされてましたね。
「松倉選手ともやりたいのですが、RIZINはMMAの団体で僕はMMAの選手でもあったのでルールはMMAでも問題ないです。ここまで命を懸けて勝負している選手はいないので、面白い試合を見せられると思いますよ」
――今後、具体的な目標はありますか?
「ラウェイでやられている選手にやり返すこともそうですし、この70~73kgの階級で日本で強いと言われている選手を倒していけばラウェイが強いことを証明していけると思います。この階級だと同じジムに強い選手が多いですが、得する人が少ないですし喜ぶ人もいないので同門対決はしません」
――ミャンマーの子供たちのために学校を建てるプロジェクトを立ち上げていましたが、どういうきっかけでやられたのでしょう。
「元々僕が出ていたラウェイ日本大会がミャンマー子供教育支援で開催されていて、2018年に現地の学校を訪問したら、日本と少し離れた国なのに僕らとは違いすぎる教育の環境なんです。子供たちは親の仕事を継ぐことしかなく、夢を聞かれても答えられる子がいないんです。自分がやりたい職業をやっている人がたくさんいるのが日本で、一回しかない人生で夢に向かっていくエネルギーを持つことが大事だと思います。そういうのを現地の子供たちに経験してもらいたいですし、それがあればもっとミャンマーの国は発展すると思いました。そこで教育を見直してほしいと思っても、学校がボロボロの小屋だったりしてまだそこまで子供たちの教育に目が注がれていません。僕が訪問したことで『日本人でミャンマーの国技のチャンピオンが学校を訪問した』と国内でニュースになり、そうしたらミャンマーの富裕層の人たちがお金を出し合ってくれて“日本人が見つけた学校”と名付けられた学校を建てることができました。注目を集めることで子供たちの教育に割かれる国の予算も変わってきます。クラウドファンディングで2校目が建ち、今は3校目を建てている最中です。僕ができるから他の格闘家もできると思うんです。格闘技を通して社会に貢献できるので、他のキックボクサーも社会に対して貢献してもらえればキックの地位も向上しますし、そうすればREBELS、KNOCK OUTもいい形で世の中に広まるのでどんどん派生していければいいなと思います」